人間関係で傷つかないための知恵

2020年7月24日

相手を丸ごと理想化しない!】 

臨床現場には、多くの傷ついた人々がやってきます。そのほとんどは、職場や学校での人間関係で傷つきます。特に尊敬してた人や信頼してた人から否定されたと訴える人は、落ち込み度もかなり深刻です。普段から仲が悪いとか敵であると思っている人から同じような否定的なことを言われてもそれほど傷つきませんが、「親友だったのに、尊敬していたのに」とその落胆ぶりは見るに堪えません。そこで相手に怒れる人はまだいいのですが、相手への尊敬度が強くて理想化していると、自分への攻撃が始まり、抑うつ状態となってしまいます。

具体的に聞けば聞くほど、その上司は、自分の思うような結果にならないと我慢ができない、わがままでかなり強迫的な人という印象だ。しかし、人は何かの拍子に一度尊敬してしまうと、軽蔑すべき情報もあるのに、そこは見ないで、尊敬できる情報のみ拾ってしまう傾向に陥るのだ。これを社会心理学では、ハロー効果という。同じく社会心理学には、認知的不協和理論といって尊敬している人が尊敬できないところがあると認知的不協和という不快な状況を起こすので、尊敬できないところは無意識に見ないようになるという理論である。こう言った心理教育を続けていくと、人は丸ごと悪いとか良いとかではなく、良い部分と悪い部分があるといった多面的なとらえ方ができるようになる。そうすると、あの上司は仕事は早くて正確かにできるが、思い通りにならないとすぐに感情的になるな、今日怒ったのは、感情的な部分が出たな、と冷静に状況解釈でき、自分を過度に責めないで済む。  

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対処例:F;どんなところを尊敬してたの? A;とにかくすごい人で何でもできる、完璧な人です。F;あなたが尊敬している点をもう少し具体的に挙げてもらってもいい? A;子供のころから大変苦労した人で・・・現場からのたたき上げで、学歴もないのにここまでの地位を築いた人なんです・・・・多くの部下から尊敬されていて、とにかくすごい、すべて完璧・・など。

結論:人は丸ごと良いと思うのではなく、良い部分と悪い部分があると思うこと。そして良い部分だけ、取りいれよう。