過酷な環境だけが鬱の原因ではない!   ―カウンセラーの妄想日記—

2020年7月24日

アホな上司へ  私がクライエントの代わりに言いたいこと

CO;「ちょっと待って、怒らないで! その人は、怠けているわけでもなく、能力がないわけでもない。状況に驚いたり、馴れてなかったりで本来の力が出せないだけ。それを嫌な顔したり、チッと舌を鳴らしたりしたら、ますます凍り付いて何もできなくなちゃうよ!」

「そんな風にして落ち込ませたら、何日も立ち直れないじゃないか。これほど会社にとって損なことはない。しかも心の傷になっちゃったらどうするの? そんなことぐらいでと思うかもしれないが、そんなことぐらいで実はうつ病になるきっかけには十分なんだよ!」

私が鬱になったきっかけ

私がうつ病になったのは、もっと些細なことだったんだ。今、その人にあなたが原因で鬱になりましたなんて言ったら、きっと「えええ・・・わたし何かしました?」なんて驚いちゃうに決まっている。そのぐらい些細な事。

実は、うつ病はきっかけさえあれば、あとはその人が幼いころから培ってきた思考傾向(スキーマ)が、うつ病へと引きずり込んでいくんだ。

「そんな弱い奴は、この先厳しい人生なんて生きていけないじゃないか、鍛えてやっているんだ!」なんて上司は言うかもしれない。

私;「それは、本当にありがとうございます。でも本当に部下のこと考えて怒ってますか?ただ、あなたの思い通りに動かなかったことに腹が立ったんではないのですか。」

このようにクライエントの代わりに上司に嫌みの一つも言ってスカッとしたいが実際はそんなことできないし、言えない人がほとんどだ。また、言える人が勇気があるとも思えない。

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鬱にならない対応策

「腹の中だけでも、怒れ!」と言いたい。

しかし、たいていの人は、「本当にご指摘ありがとうございます。助かります。これからもよろしくお願いします。」なんてけっこう心にもあることを言って、あとでより落ち込む人がほとんどなのだ(心にもないことであれば、まだいいのだが)。ここで、腹の中で「あの野郎」と怒りを相手や外に向けられれば、うつのリスクは減る。

だが、「この上司は自分のために怒ってくれるんだ」なんて本気で思ってしまうと、実は鬱は悪化する。

ここでダメ押しの第三者登場!

その上司の部下や自分の同僚などの第三者が、「あの人は本当にあなたのためを思って厳しい口調になっているんです。あの人は(上司)本当にやさしい人です。思いやりのある人です。」なんてフォローされたら、自責感倍増で私なら一発で鬱です。

以上が私が臨床現場でよく耳にするサラリーマンの声から作ったおはなし。実際、このようなことが重なっていくことで、深刻な状態になる人が結構いる。

しかし、このようなことの積み重ねが原因だとすると、本人もこんなことで鬱になったと認めたくないし、何かもっと劇的なことが原因の方が他人も自分も納得できますよね。しかし、残念ながら、むしろ大した原因もないからこそ、「なんて自分は弱いんだろう」と自己評価をさらに下げていく。うつ病になるほどの立派な理由があれば、まだいいのですが、こうなると人にも言えず、ますます悪化する。

私の対処法

このようにうつ病でありながら、あまり原因を言いたがらない、原因が自分にあるという人には、私がクライエントの代わりに本気で怒ってこのように空想して見せたりすることがあります。(もちろん、状況にもよりますが)。【イメージの書き直しセッション】

そこから始めて、最終的には、その人が心の底から望んでいる人生に向かって歩み始めてもらえるように支援します。


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